「あ゛ー」
今度は俺が唸り声を上げた。
首を傾げながらもジトーッと見つめてくるココロの視線から逃げつつ、
「現在進行形でごめん」
まだときめく俺がいます、と素直に白状。
ますます首を傾げるココロだったけど、俺がチラチラッと視線を送った甲斐があり、見事に誤解は解けたもよう。
でも今度は別の意味でお互いに唸り声を上げるという、恋人の沈黙到来。
会話が一切飛び交わなくなった。
「………」
「………」
無言のまま視線を合わせて、ぎこちなく宙を見やる。
ははっ、こういう場合、どうすりゃいいんだよ。
田山圭太、恋愛の場面なんてちーっとも踏んだことないから…、くっそう、この沈黙が気まずいったらありゃしねぇ!
「あぅ…、す、すみません。わ…私…その、嫉妬…」
「あ…いや、俺も…誤解させちまってごめん…。でも嬉しかった」
俺を好き故に嫉妬してくれたなら、そりゃ嬉しいってもんじゃん? これは正直な気持ちだ。
そしたらココロ、「私も嬉しかったです…」モゴモゴと言葉を返してきてくれた。
は、は、は、ハズイ…、お礼を言われると余計羞恥を煽られるんだけど。
彼女にときめいた俺、なーんだかエロ親父的な立ち位置に追いやられないでもない。
居た堪れなくなった俺は話題を切り替えることにした。
いつまでもこの話題を引き摺っていたら、こっちの身が持たないっつーの!
「こ、これからどうする? ココロ。今、13時だからお昼にしてもいいけど」
「そうですね…。お腹も減りましたし、お昼にしましょうか?」
同調してくれる彼女は、「何処に行きます?」食べたい物はあるか、と俺に質問を飛ばしてきた。
うーん、別にこれいって食べたい物があるわけじゃないけど。
俺もココロに何か食べたい物はあるかって尋ねる。
彼女もこれいって食べたい物はないらしい。
取り敢えず腹が満たされればそれでいい、みたいな?



