響子さんは周囲から悪評だけれど、私にとっては大好評、気の置けない人になる大事なお友達のポジションになるのも時間の問題だった。

最初こそ昼休みだけ一緒に過ごしていたけれど、彼女に倣ってちょっと授業をサボったりするようにもなったっけ。
 
ツマラナイ居場所のない授業を受けるよりも、響子さんの隣にいた方が楽しかった。これは私の純粋な本音。
 
モノクロだった学校生活が一変して、カラフルになった。


それだけ響子さんの存在は私の中で大きくなっていったのだ。
 


「ふぁ~…ん…、響子の友達…か?」



そんなある日、私は唯一響子さんが一緒にご飯を食べているというお友達さんと対面する。
 
さすがは響子さんのオトモダチなだけあって、お相手は水色に髪を染めた…不良さん(♂)。
 
名前は相牟田 静馬さんと言うらしいんだけど…、私と同じ学年らしいんだけど…、彼に会った瞬間、体が硬直して思わず響子さんの後ろに隠れてしまった。

響子さんが怖くないのは特殊例だったみたい。

静馬さんが姿を現しただけで体に緊張が走り、変に汗が流れた。


「おいシズ」


怖がらすなって、私の態度に響子さんは静馬さんの頭に煙草の空箱を投げ付けた。

綺麗に避ける静馬さんは、うんうんごめんごめん眠そうに目を擦りながら欠伸を噛み締める。

それでもってドッカリと段差に腰掛けて、持参していた大量のパンを頬張り始めた。


軽く十は超えているパンの数に私は凝視、もしかして全部…食べるのかな?

あまりにもマジマジとパンを見ていたせいか、静馬さんが首を横に傾げて「食べたいか?」眠たそうに尋ねてくる。

ブンブンブンブン、かぶりが取れるくらい首を横に振る私に、「ご飯派か?」何だかナナメ上の返答をされた。


「気にするなココロ。シズは食うか寝るしか脳にねぇから」

「随分な…紹介だな…。
そういえば響子…、今日来ないのか? …最近、お前が来ないから…ヨウ達…、気に掛けてるぞ」