「ふぁ~…、ココロ。顔が笑っている…。携帯で何を見てるんだ?」
 


穏やかなお昼休み。

私は東棟の4F空き教室で昼食を取っていた。

仲良くしてもらっている響子さんやシズさんと一緒に、空き教室でご飯を食べるのが私の日常。

二人と出逢ってから毎日のようにお昼休みは空き教室で時間を過ごしていたり…、


ということはそれまでは? という話になるんだけど、私、小中時代はひとりで食べていたから…、ううっ、思い出すのも苦痛。横腹と胸がズンと重たくなる。

もう過去のことなんだから!

って励ましても、そういうウジ虫な私がいた事実は変わらないわけだから、ふと過去を振り返って落ち込みしたりする。


それはさておいて。

私はお弁当を食べながら、学校に持ち込んではいけない携帯を持っていたんだけど、画面に向かって笑みを大安売りしてたみたい。

眠そうに欠伸を噛み締めているシズさんに指摘されて、慌てて携帯を机上に伏せた。


なんでもない、そう言う前にシズさんが欠伸を一つ。


「ケイとメールでもしていたのか?
それとも…、ケイの画像でも眺めていたのか?

あれだろ…、弥生が…、隠し撮ったってココロに送ってきたヤツ…。

確か、ケイとヨウの二人乗り…画像だろ?」


ドキリ―、私は思わず携帯を胸に押し付けて挙動不審になる。


「えええっ、し、シズさんっ。ど、どどどどどうしてケイさんの画像のこと」 

 
アタフタと焦る私に、

「毎日のように携帯に笑みを向けていたらなぁ…」

いやでも察してしまうし、携帯を盗み見てしまうし、欠伸を含む一笑をシズさんは零した。

恥ずかしさのあまりに死ねそう。

顔を赤くして俯く私に、「後者だな」とシズさんはまた笑って四個目のメロンパンの袋を開けた。

シズさんの大食いはもう見慣れているけど、今の指摘はない。ないよぉ。