「ふふっ。お母さんが先に片思いしたみたいなんよ。中学の時だったかね、あれは」
 

私の心情を読み取ったばあばが両親の恋愛模様を教えてくれる。
 

「彼の話になるといつもそわそわしていてね」


一目で恋に落ちたのだと分かった、ばあばは笑声を漏らす。

どれだけ片恋を抱いていたかは分からないけれど、中学時代はそうやって片恋を抱いていた。高校に上がって二人は付き合い始めたみたいだけど、卒業間際に別れたとか。


なんで別れたかはばあばも知らないんだって。

お母さん、すっごく泣いていたらしい。


けれど数年後の中学同窓会で顔を合わせてまた恋に落ちた。今度こそ二人は結ばれたんだ。


そういう恋話を聞いたとばあばは語ってくれる。


「こころも二人に負けないくらい、素敵な恋をしていかんとね」

「もうしているよ」
 

即答する私にばあばは笑声を零し、「それは失礼しました」と皺の入った頬を崩す。


両親がどんな恋愛をしたか分からないけれど、私は二人に負けないくらい素敵な恋をしている自信がある。


こんなにも一日いちにちが煌く粒子のように輝いているのだから。