「これでよし」


最近購入したプリクラ帳に、大切な一枚を貼った私はそれを眺めて頬を崩す。

弥生ちゃんや響子さんと撮ったプリクラ。

チームメート全員で撮った一枚に、ケイさんと撮った思い出。


数は少ないけれど、そのプリクラの中には濃厚な日々が、関係が、皆に対する想いが詰まっている。


 
「こころ。入るよ」



廊下からばあばの声が聞こえた。


返事すると、ばあばがひょっこりと襖から顔だけ顔を出し、ケイさんのお母さんに貰った苺とお供え物の草餅が入ったお盆を持って仏間に行こうと誘ってくる。


頷き、私は机の電気を落として椅子から下りる。


仏間に赴き、仏壇に両親へのお供え物を置くばあばは「今日はどうだった?」と話題を切り出してきた。


「凄く楽しかったよ。ケイさんと遊べて凄く楽しかった。ご家族も優しかったし」

「ふふっ、好い彼氏さんを見つけたんだねぇ。こころ。圭太さんと付き合い始めてから、こころ、これまでにないくらい笑顔よ」


恋の魔法かしらね。

可笑しそうに笑うばあばに唇を尖らせるけれど、


「そうかもしれない」


すぐに笑みを作って返事する。


ウジウジ虫が吹っ飛んでしまうくらい、私は笑ってばかりいる気がする。昔に比べて泣かなくなった。


イイコトだよね?

うん、きっとイイコトだ。笑うことで心が軽くなるもの。
 

私はばあばと一緒に仏壇に手を合わせた。

「こころが笑ってくれているから」

お父さんもお母さんも喜んでくれていると思うわ、ばあばの笑顔に私は伏せていた瞼を持ち上げ、両親がいるであろう仏壇に視線を留める。

お父さんとお母さんが生きていたら、私の恋話を喜んで聞いてくれるかな?


聞いてくれるといいな。

できたら二人の馴れ初め話も聞きたいところだけれど。


お父さんとお母さんって何処で知り合って、どうやって恋に落ちていったんだろう。聞きたかったなぁ。