そして今、一緒にプリクラを撮って思い出作りに勤しんでくれるのは、


「ココロくるよ。お金分、スマイルを作りしましょう!
スマイルはゼロ円だってどっかのファーストフード店では言っていたけれど、此処はお金分、ビバスマイル!」

「はい、ケイさんも笑って下さいね。笑顔も笑顔ですよ」
 
 
想いを寄せていた人、そして私を好きになってくれた人。

私はシャッターが切られる十五秒ほど前に、

「言い忘れていたことがありました」

これはどうしても言いたかったのだと、ケイさんに声を掛けた。


不思議そうに視線を流すケイさんに私は満面の笑みを作る。


「ねえ、ケイさん。私を好きになってくれて本当にありがとう」


「へっ?」突然のお礼に間の抜けた声。

「あ。きますよ!」シャッターが切られるプリクラ機のカメラに向かって私は、俺の腕を引いてピースを作った。


「ちょ、ココロ!」


バッドタイミング過ぎないかっ、ケイさんの頓狂な声は機械に届かず、シャッターが切られる。


いいえ、ケイさん。

私はこのタイミングで貴方にお礼を言いたかった。言いたかったんですよ。


私を好きになってくれて本当にありがとう、と。



⇒#End