若いと頬に手を当てる母さんは青春だと口ずさみ、「俺は蚊帳の外」ヨウは大袈裟に溜息をついてフリーは辛いと嘆いてみせた。
べ、べつに見せ付けたわけじゃ!
「あーあーあー、俺って可哀想。見舞ってくれる彼女がいねぇんだから」
「庸一くん、おばさんが彼女になってあげましょうか?」
「おじちゃんが泣くから遠慮しとく。俺、不倫はしない主義だし。俺とおばちゃんが不倫したら、それこそケイや浩介と気まずい関係になるじゃん!
あ、ケイ、いいんだぜ。ラブラブしてて。俺はおばちゃんと談笑しておくから」
「圭太も隅に置けないわね。ちゃんと家族に報告しないところがまた憎いわ」
揶揄してくる二人に俺は呻き声を上げた。
「ウルサイ!」
突っ返すけど、二人はニタニタ笑うだけ。
なんの罰ゲームだよもう。赤面する俺にココロがようやく笑顔を見せてくれる。
胸に刺さっていた棘が抜けかかった。
やっぱりココロは笑っていて欲しい。
過程に泣くというアクションがあったとしても、最後は柔和に頬を崩して欲しい。我が儘を抱く俺がいた。
―――…例えば俺のために心配して泣いたとしても、俺のせいで泣かせてしまったことは、胸に棘が刺さると同じことだった。
二度と泣かしたくないと思いつつ、俺はまたいつかココロを泣かせるだろう。
傷付けるだろうし、喧嘩だってするかもしれない。
だって表面上の付き合いから一剥きして、俺達は些少でも本心を通わせている仲なんだから。
衝突する日だって来る、きっと。
それでも好きの気持ちが通っていれば良い。
恋は盲目? 今は夢見ている? 長く関係が続くか分からない?
そんなの当事者だって承知の上。俺はその上に立って想いを寄せている。
上に乗っかっているココロの頭をいつまでも撫でていた俺だけど、不意にその手を止めて体躯を抱き締めた。
その体勢のままごろんっと寝返りを打って横になると、ココロが俺の上から畳みの上に移動。
ナチュラルブラックの髪を畳みに散らし、俺のすぐ横に頭を置いた。
これ以上にない笑顔を見せて擦り寄ってくる彼女と額を合わせる。
「好きです」ココロが俺に想いを告げてきた。
返そうとする俺を制するように、「大好きです」大きな気持ちを俺にぶつけてくる。さっきのお返しなのかもしれない。



