思うことが。
私は恍惚にリーダーを見つめ、そっと部屋に戻ると彼に歩んで声を掛けた。
ケイさんの寝顔を見つめるようで、宙を見つめていたヨウさんは私の呼びかけにハッと我に返る。
ぎこちなく笑みを浮かべ、「どうした?」と聞いてきた。
どうかしたのはヨウさんだと思うけれど、深くは掘り下げない。
あまり目が覚めないようなら病院ですよね、力なく眉を下げて話題を切り出すとヨウさんは生返事。
心配ですね、言葉を重ねると意外なことに心配はしていないと返された。
誰がどう見ても心配していると思うのだけれど。
顔色を窺うと、「絶対大丈夫だ」私を安心させるように肩に手を置いてきた。
ケイなら大丈夫、ヨウさんは繰り返し台詞を紡ぐ。
まるで自分に言い聞かせているよう。
視線を持ち上げると、「だってこいつは」俺と約束したから、苦笑混じりに肩を竦めた。
約束。
そういえばヨウさんはさっきから何度も“約束”を口走っている。
ケイさんと何か大切な約束でもしているのかな?
その旨を聞くと、こりゃ男の秘密だとヨウさんは受け流してしまう。
男の秘密というより舎兄弟の秘密に近いと思うのだけれど。
私は彼に尋ねる。
ヨウさんにとって舎兄弟ってなんですか? と。
唐突過ぎる質問に面食らっていたヨウさんだけど、間を置かずに返答してくれた。
「ダチだけどダチじゃねえ、かな」
それはそれは曖昧な返事だった。
ヨウさんは指の関節を鳴らし、うーんっと唸る。
「最初こそケイとは成り行き…、それも面白いって理由だけで舎兄弟を結んだ。ぶっちゃけさ、つまらなくなったら俺、白紙につもりだったんだ」
「まあ」素の声を上げる私に、「最低だな」自覚はあるとヨウさん。
でもあの頃は自分にとって舎兄弟がどういうものになるのか、想像もつかなかったのだと語る。
飽きたら白紙にして普通に友達として接していこう、そう思っていたのに……、舎弟は最初から舎弟として自覚を持って意識し行動を起こしていた。
それこそケイさんが初めてチームに顔を出したあの日。仲間のピンチに飛び出したヨウさんを追い駆けて来た、あの日から、その前からずっとケイさんは舎弟として。
「色んなことあったけど、俺は今、ケイと舎兄弟を結んでいることに誇りを持っている。不釣合い? 手腕がない? 不良? 地味? だからなんだ。
俺の舎弟はこいつだけだ。あの日、面白がって舎兄弟を結んだ手前によくやったって言ってやりたいよ」
「ヨウさん…」
「なんかこう、ダチだけどダチじゃねえんだよ。ケイとはさ。親友ってのもちげぇし。んー、なんだろうな。舎弟ってのが一番しっくりくるんだけど、でもまだもやっとしてる」



