「…、いつか…、死んでしまおうって…、わたしっ…、いつも…いつも」
ケイさんが強く抱擁してくれる。
過去の古傷(化膿傷)を抱き締めてくれるケイさんは、「好きだよ」卑屈でいいから、弱くていいから、ココロが好きだから、繰り返し気持ちを告げてきてくれた。
「独りにさせてあげない」
嬉しい言葉に、応えたい気持ちはあるけれど嗚咽が邪魔して邪魔して。だから私はケイさんの名前を紡いだ。
ケイさん、じゃなく圭太さんって呼んでしまうのはどうしてだろう?
広い背中に縋って、そのぬくもりを抱いて、私はただひたすらに彼を求めた。
本当の意味ですべてを受け入れてくれる彼を好きになって良かった。本当に良かった。
私は過去の自分に頑張って生きようと、生にしがみついた自分を褒めてあげようとさえ思った。
だって過去の私が死んでしまえば、ケイさんに出会うこともなかったのだから。
泣きに泣きじゃくった私はケイさんの腕の中で、気を落ち着け、そのぬくもりに幸せを噛み締めていた。
卑屈も吐き出せば空っぽになるもので、気が落ち着く頃にはすっかり気持ちが晴れていた。
いつまでも抱き締めてくれるケイさんは、身じろぐ私に気付いてよしよしと背中を擦ってきてくれる。
あったかい手に綻んでしまった。
何より贅沢なぬくもりだとさえ思った。
もう大丈夫だと告げれば、「ん」良かったと綻び、ぎこちなく手を伸ばしてきた。
「なあココロ、前にも言ったけど、その…笑った方が好きだからさ。落ち込んでもいいし…、卑屈になってもいい…、でも最後は笑って欲しいんだけど」
そう言って彼は、私の腫れた目元を親指でなぞってくる。
やけに真剣な面持ちを作ってくるケイさんに緊張を抱いた私は、もしかして…、と期待に胸を膨らませた。
だってケイさんはゆっくりと私の頬をなぞって、視線をかち合わせて、目と鼻の先まで顔を近付けて。
頬を赤く染める私を見て彼は我に返ったのか、「み。皆が待ってるよな」行こうかとぎこちなく笑みを浮かべてくる。
え、まさかの寸止めですか。
落胆する私の気持ちに気付いていないケイさんは、私の前髪を掻き分けて額に唇を落としてきた。
嬉しいけれど嬉しくない。
私は皆のところに戻ろうと言うケイさんの膝から退かず、ブンブンと首を横に振ってこれじゃ嫌だと我が儘を言ってみた。
私の我が儘に目を点にしていたケイさんだけど、
「折角我慢したのに!」
意図に気付いて赤面も赤面、真っ赤になった。



