唇を尖らせていると、窓枠から「ココロ」声を掛けられた。

顔を上げれば、手招きしてくる弥生ちゃんの姿。


駆け寄れば、「聞いちゃった」笑顔を向けられる。


「好きな人には可愛いって思われたいんだね。ココロ」

「あ…、そ、それは」


「フツーだよ。女の子なら誰だってそう思うから安心して。可愛くなればイイジャン、ココロ。別に土曜、学校じゃないんだし」



可愛くしてあげる、弥生ちゃんが私に手を取って強く言ってくれた。


「でも…」


随分自分のことに自信はついたけど、容姿はてんで駄目だから…、可愛くなれるかどうか。


口ごもる私に、大丈夫だと弥生ちゃんは励ましを送ってきてくれる。

「ね?」弥生ちゃんはいつの間にか隣に立っていた響子さんに同意を求めて、花咲く笑顔を作っていた。

その愛くるしい笑顔、私にはない可愛らしさ。羨ましいなぁ。


羨望を抱く私を余所に、姉分の響子さんは目尻を下げて私の頭に手を置いた。



「任しとけ。アンタは絶対可愛くなるから、な?」



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