真情を聞いた響子さんは、三等分にプリクラを切り分けながら微苦笑。

「プリクラくらい良いと思うんだけどねぇ」

警戒心が強過ぎだと弥生ちゃんは、やや呆れ気味に肩を竦めた。
それはそうなのだけれど、喧嘩が弱い地味組がチームに対してできることと言ったらこれくらいだから。

「でもココロはいいよなぁ」

重々しい空気を吹き飛ばすように、弥生ちゃんは可愛らしく頬を崩して羨ましいと眼を向けてくる。
 

「こんな状況下でも、ケイに告白されるなんて。
そりゃあ我慢しなきゃいけないことも沢山あるだろうけど…、相手の気持ちを聞けるってすっごく羨ましいよ。
ケイって結構負けず嫌いで見栄っ張りだよね。ここぞって時に男を見せてくるし」
 
 
私なんて相手の気持ちを察していても、告白の気配すら見せてくれないんですけど。

唇を尖らせて頬を膨らませる弥生ちゃんは、「ヘタレだよなぁ」なんで私、あんなヘタレを好きなんだろう…、と何とも言えない顔で吐息をついている。

ハジメさんのことを言ってるんだろうなぁ。

ハジメさんって深慮で慎重派だから、何事も腰が重たい。

誰から見ても弥生ちゃんのことは好きなんだって察することが出来るのに、まったく動く気配を見せないんだ。

このまま気持ち、伝えないつもりなのかな。

それとも喧嘩を終えてしまってから告白するつもりなんだろうか?


彼の気持ちがイマイチ、見えない。
 

「だけどさ、やっぱプリクラくらいは良いと思うよココロ。私と響子が見張っていてあげるから、ケイを呼んできなよ」

「え…、でも」
 

「ケイは確か、ヨウと一緒だったな。UFOキャッチャーをしたいからってヨウの奴、ケイを引きずり回してた。

ンと、あいつ等は仲が良いぜ。
二人は一階フロアでうろついてる筈だ。事情を話してプリクラを撮っちまいな。あいつ等なら分かってくれるって。
ヨウに頼めば、一緒に見張ってくれるだろうし。呼んで来いよ、ココロ」