「俺…、弥生のこと友達としては好きだよ。弥生ってお喋りが好きだからさ、調子乗りの俺に合わせてくれて、結構一緒にいること多い。
でも弥生のことはそういう対象で見たことないんだ。ハジメがいるってのもあるし、俺自身、良いお友達感覚。そういう好きじゃないんだ」
―――…ケイさんの好きな人は弥生ちゃん、ずっとそう思い込んできた。
彼等が和気藹々と語り合う姿は微笑ましいと同時に、やさしい空気を生み出す。
それがこの上なく羨ましかった。
弥生ちゃんは誰からも好かれる明るい子、ムードメーカー。
私にはない眩い性格を持ち前に、皆に元気を分け与えていた。私には出来ないことをしてみせる可愛い女の子。
当然、仲良く駄弁るケイさんも次第次第に彼女の魅力に見せられて恋情を抱いた。そう思っていた。
だけど、違った。
「俺の好きな人、弥生じゃないんだよ」
誤解をしないで、訴え掛けてくる眼に私は魅せられた。
ケイさんの瞳…、日本人らしい澄んだ黒い瞳をしている。他人(ひと)の瞳ってこんなに透き通った色をしているんだ…、知らなかった。
向こうに映る私の姿を捉えるケイさんは何を思って私を見つめているんだろう?
「ココロ。俺っ…」
緊張に言葉を詰まらせ、でも屈しないよう声音を通らせる。高鳴る鼓動を無視して私はケイさんの言葉を待った。
同時に聞こえてくる、「集合、榊原チームに動きがあったらしいぞ! 集合、直ぐに集合!」集合の声。
一変して空気は崩れ、あはは、あはは、私達はお互いに乾いた笑いを浮かべた。
ううっ、こんなことってあるでしょうか。
いえ、状況を把握せず勝手に告白ムードを醸し出していた私達が悪いんですけれど、でもっ、告白をしてから集合を掛けてくれてもっ。ガッデムです。
ケイさんの気持ち、聞きたかった。



