「お、おお俺だって弥生が好きとか、一言も言ってないんだけど!
弥生にはハジメいるしさ! 傍から見たかんじ、二人って相思相愛だし、俺の入るところないし! 好きとか思ったこともないし!」
嘘だ、絶対嘘だっ。
あんなに弥生ちゃんと仲良くしてたくせにっ。
ケイさんは知らないんだっ、それで一憂していた私のことなんてっ。
「だってケイさん、弥生ちゃんと凄く仲が良いから! とても羨ましいと思うくらいにっ」
「それだったらココロ、ヨウを見るときの目、すげぇ優しそうだぞ! すっごく嫉妬するんだからな」
男の子と、こんなにも言い合いをしたことあったっけ? ううん、なかったよね。
初めてだ、こんなに言い合いするの。
ぜぇぜぇっ、二呼吸ぐらい置いて私達は取り敢えず視線を逸らして感情整理。
ケイさんは嘘吐きだ。今更弥生ちゃんが好きじゃないとかっ、私、沢山見てきたのに。
弥生ちゃんと楽しそうに笑っている姿、積極的に話す姿に、それから、それから。
嗚呼、ケイさんの嘘吐きっ、そして酷いっ。
私はヨウさんに憧れしか抱いていないって言ったのに。ヨウさんを見るときの目、すげぇ優しそうだ。
すっごく嫉妬するんだからなっ、なんて言っ……、嫉妬する?
誰が誰に?
ケイさんがヨウさんに?
なんで、二人は仲が凄く…、私がヨウさんを優しく見るからケイさん、ヨウさんに嫉妬。
それって、もしかして。
面を食らってしまった。
じゃ、じゃあ…ケイさんの好きな人って弥生ちゃんじゃなくて、やよいちゃんじゃなくて。
ぎこちなくケイさんを見やると、彼は笑いもせず、真顔で「違うんだよ」説に訴えてきた。
俺の好きな人は弥生じゃないんだ、声音を震わせてくるケイさんは凄く緊張している。
いつもの調子乗りなんて一抹も出さず、口を開閉して唇を震わせた。
違うんだと連呼するケイさんは、私の気持ちを察している。
同時に私もケイさんの気持ちを察してしまった。



