こんな話、小っ恥ずかしくて皆には聞かせたくないだろ?
口に出さずとも、目で訴えてくる。私を気遣ってくれているんだ。
“エリア戦争”の話し合い中なのに、外に出ても大丈夫なのかな。
と、片隅では思ったけど私は承諾した。
少しくらいなら持ち場を離れても大丈夫だよね、少しくらいならきっと。
ケイさんの誘いに乗った私は青々としている空の下、倉庫裏に回って積み重ねられている木材に腰掛ける。もうすぐこの青空も茜空に変わるんだろうなぁ。
どうでもいいことを思いながら、私はダンマリになる空気を裂くために口を開いた。
本当はこんな応援、したくないんだけど…、好きな人の恋が実って欲しいって言うのも本音だから。
「ケイさんの恋ならきっと叶いますよ。きっと…、応援してますから」
するとケイさん、苦笑いを零して目を伏せた。
「どーかな。俺の好きな奴には他に好きな奴がいるんだ。
どーしても、そいつに勝てそうにないんだよなぁ。向こうの方が二枚も三枚も上手(うわて)だから。俺なんか逆立ちしても勝てそうにないよ」
「そんなことないですよ。ケイさん」
「いやぁ、一般論を述べると確実に俺、負けますです。現在進行形で負けてますです。はい」
それってハジメさんのことだよね…、うん、確かに弥生ちゃんはハジメさんにしか気がない。
私や響子さんと話す時もずっとハジメさんについて語ってくれるし、彼のことで一喜一憂する姿を何度も見てきた。
「ハジメがね」が口癖なほど、ハジメさんスキーだもんな、弥生ちゃん。
ケイさんだって空気の読める人だから、それは分かっていると思うんだ。
でも好きと理解は違うよね。
私だってそうだもん。
例えケイさんが一途に弥生ちゃんを想っていても、諦めの悪い私は一途にケイさんを想う。
想い続ける。本当の意味で諦めがつく日まで。
ケイさんの気持ち、すっごく分かる。
「でもな、ココロ。俺、負けって分かっていても気持ちは伝えようと思うんだ」
え?
瞠目する私に、ケイさんは目を伏せながら言葉を重ねる。



