ウィンクする浅倉さんに私は瞬きをした後、再度舎兄弟に目を向けた。
「商店街内にこんなに道があるのかよ」
眉根を寄せているヨウさんは顎に指を絡めて、覚えられるかと愚痴を零した。
「いや覚えてくれって」
ケイさんは即座にツッコミを入れる。
「脇道を使うことで戦法の幅がグンと広がるだろ? ヨウはリーダーなんだぞ、これくらい覚えてくれよ」
「てめぇが覚えてる。それでいいじゃねえか。何かあったら携帯で連絡すりゃいいし」
途端にケイさんは呆れ顔になった。
「バッタバタしてる時に連絡なんてできるか? ましてや喧嘩の真っ最中だぞ。
何、ヨウは俺にテレパシーでも送ってくれるわけ?」
「馬鹿、知らなかったのか、てめぇ。舎兄弟を結ぶとテレパスになれるんだぜ? さっさと自覚しろよ、俺とてめぇはテレパス人間。通じ合ってる。OK?」
「マジで?! んじゃ、早速自覚するために修行を積まないと…な…、って、お前、ノリ良過ぎだろ! 思わずノッちまっただろーよ!」
「ノリの良いテメェが悪い」ヨウさんが愉快そうに責任転嫁をしている。
「俺のせいかよ」ケイさんは心外だと脹れ面を作っていた。
あの二人の絆が諸刃の剣になることなんて…、あるのかなぁ。
私は複雑な気持ちで舎兄弟のやり取りを見守っていた。
隣でコーラを飲んでいた浅倉さんは、ただ黙然と舎兄弟のやり取りを見つめていた。
いつまでも、いつまでも、見つめていた。
⇒#02