「じゃあさ、もう少しぶらついた後、ココロのご両親に買うお供え物を買ってから家に行こうか。なま物でも、冷蔵庫に入れとけば大丈夫だろうし」


「はい、そうしましょう」



元気よく頷くココロに俺は人知れず笑みを零す。


今日は本当にデートに誘えて良かった、彼女のこうした元気で明るい姿を見られるだけで心が洗われる気がする。

チンプンカンプンだらけだろうに、ゲームに興味を示して俺に質問を投げ掛けてくる彼女のその姿といったら。姿といったら。
 

ゲームショップを堪能した後、俺達はぶらりと本屋へ。

そこで一頻り盛り上がり、今度はペットショップへ。

ペットを飼っていないもんだからペットショップなんて普段は殆ど見ない。


でも案外、入ってみると楽しくて、俺はココロと一緒に思う存分動物巡りを堪能した。

ココロが楽しんでくれてると分かってるから、余計楽しかった。


すっげぇちっちゃなことだけどさ、大切だと思うんだよ。

今日は一日中、ココロには笑ってもらいたいんだ。

我慢していた分まで、それこそ辛い思いをしていた分まで。思い出作りに精を出すココロに、少しでも楽しい思いを。


その思いは募っていく一方だからペットショップを出た後は、小っ恥ずかしいけど、人目だって気にしちまうけど…、ココロに聞くんだ。

 

「手…繋いでみていい? 嫌ならいいんだけど…」
 


彼女は俺の申し出に、見る見る頬を紅潮させる。

けど、こっくりと一つ頷いて彼女の方から手を繋いできた。


俺はその手を握り返して歩みを揃える。


あの日あの時あの瞬間のように、想いを告げ合った日のように、歩調を揃えて俺達は手を結び合った。


 
⇒№03