「チームメートも知ってるから、隠す必要もねぇんだが…、うちは中学の時にエンコーをしててな。
やっちゃなんねぇって分かってても、馬鹿みてぇに相手探して、小遣い稼いで、貢がせたりして……、チームの奴等、皆、馬鹿だが気の置けねぇ良い奴等バッカだ。だから思うんだ。うちって汚ぇなってさ」
「響子さん…」
「そうやって自己嫌悪する日もある。
うちってダメダメじゃねえか、ああっ、自信もなにもクソもねぇ。もう駄目だ。何もかもリセットしたい! リセットボタンは何処だ! あの頃の日々を消却しちまいたい! ってな。
ふふっ、今のあんたと一緒だ。ナニに対して自信喪失してるか知んねぇけど、そういう日もある。誰にだって。
けど周囲は手前が思ってるほど、自分を過小評価してねぇんだなこれが。
おかげで居心地が良いのなんのって、居座っちまってる」
そうだろ?
同意を求められて、俺は面食らったけど、すぐに頬を崩すして頷く。
本当にそうだ。
周囲は自分が思ってるほど、俺を過小評価してない。
だから居心地が良くて、どんなに醜い感情を持っていても、無神経に居座っちまう。そんなもんだよな、この世の中って。
溢れ返る嫉妬心、自信喪失への解決の糸口は見つからなかったけど、こうして誰かと会話することでなんとなく気が紛れたような気がする。
おかげでちょい元気になった。
響子さんにお礼を言うと、「バーカ」悪態、次いでデコピンされた。
「こういうことに一々礼なんざイラナイんだよ。ほら、ヨウがあんたを呼んでるぜ」
「えっ…、あ、ほんとだ」
出入り口で俺を呼んでいるヨウに「すぐ行く」返事をして、窓辺から離れる。その際、俺は立ち止まって響子さんに振り返って言うんだ。
「響子さんの中学時代、よく知りませんけど…、俺は響子さんがいないと困りますから」
「ん?」
「だって響子さんがいなくなったら、俺、また自信を無くした時、誰に相談すればいいんですか? 野郎にこんな話、恥ずかしくてできませんよ。笑われるのがオチですもん」
含みある台詞に、響子さんは不意打ちを食らったような顔をしたけど、目尻を下げて「早く行っちまえ」シッシと俺をあしらった。



