分かってはいたんだよ。
元々勝負にならない、この気持ちに気付いた時には勝敗がはっきりと決まってる恋なんだって。
どう転んだってなるようにしかならないし、良きお友達でいることがお互いのためなんだ。
分かってはいるんだ。いるんだよ。
でもあんな風に好きとか、笑顔とか、そういった彼女自身の気持ちを向けられてるあいつを見てると、正直苛々したりするんだ。
物凄く歯痒い気持ちになる。
……、……、はぁーあ、俺ってヤーな人間。
友達に嫉妬心向けるとか。ダッセェの。
肘を立てて、俺は頬杖を付いた。
ムシャクシャする気持ちがする一方で、俺ってなんなんだろう…とか、ちょい悲観気味な田山圭太がいる。乙だな、こんな俺。
悲観になったりしてもさ、ヨウが持ってるものを俺が持てるわけもない。
結局は無いもの強請りなんだよ。
だからこそ自分に落ち込んだりするんだろうな。
小さく溜息をついて外から入り込んでくる微風を顔で受け止めていると、
「なあにしてるんだ?」
隣から声を掛けられた。
視界に飛び込むフロンズレッドに鼻腔を擽る香水の甘い香り、それだけで誰か分かる。
俺は失笑を零して、「さあナニをしてるんでしょう」生返事をした。
すると相手は一笑、窓枠に寄り掛かって嗜好品をスパスパ。
紫煙を吐き出して、ニッと笑ってくる。
「ナニに自己嫌悪してるか知らないけどな、そんなに自己嫌悪してると、あんた、ハゲるぞ」
「ハゲるって……てか、なんで、分かるんですか? 響子さん」
「ケイは顔に出やすいからな。すーぐ分かる。『只今自己嫌悪中、そっとしておいてください』ってな」
ウィンクしてくる響子さん、さすがは姉御。
よく分かってらっしゃる。
「ナニに自己嫌悪してるか知らねぇけど」
あんま自分を卑下するな、響子さんはあどけない顔で助言してきた。
そんなこと言われてもなぁ、こーんな醜い感情で鬱々悶々してるんだから、嫌悪するなって方が無理。
俺、どんだけ心狭い男なんだよ! って、唾吐きかけたくなるもん。



