「あれ、ヨウの奴、どっこ行っちまったんだろ。
なあなあ、モト、ヨウ知らないか? ヨウ、駅前まで偵察に行きたいって言ってたからチャリを出そうと思ったんだけど」
「ヨウさん? んー、さっき倉庫の裏手に回ってたから、先にチャリのところにいるんじゃね?」
てか、ヨウさんを待たせるなよ!
モトに毒づかれた俺は、ヘイヘイと返事を返して(モト「ヘイじゃなくてハイだろ!」って怒鳴られた)、すぐさま倉庫から出た。
向かうは愛チャリの下並びに舎兄の下。
モトの言うとおり、ヨウはチャリのところにいた。
でも俺は足を止めて、壁に身を隠す。
なんでってヨウだけじゃなかったんだ、そこにいたの。
舎兄の隣にはココロの姿が…、珍しいことだった。二人が一緒だなんて。
大抵俺はヨウ、ココロは響子さんと一緒だし、他の仲間とつるんでたりするから、あの二人が二人っきりで一緒にいる光景なんて稀に見るものだったんだ。
ヤに心臓が高鳴る中、俺はすぐに引き返そうと決心。
だって二人の時間を邪魔したら悪いじゃないか。
此処で盗み聞きみたいに立ってるのもモラル的にどうかと。
「んー、なんだ。ココロ、ンなことで落ち込んでたのか? 元気がないと思ったら」
「ううっ、す、すみません…」
まるで地面に足の裏が縫い付けられたかのように、俺の足は固定された。
ココロ、落ち込んでたのか?
え…、だって今日も至って普通だったじゃないか。
元気、なかったのか?
「でも、なんで分かったんですか? 私が落ち込んでるって。確かに響子さんには…、ばれていましたけど、まさかヨウさんにまで」
「そりゃ俺はリーダーだからな。これでもチームメートをよーく見てるんだぜ。これでもな。一目見て分かった」
「これでも、じゃなくてもヨウさんは皆のことよく見てますよ。じゃないと私みたいな地味子の落ち込み、気付きませんもの」
やや自分を卑下するココロに、「バーカ」みたいなは余計だぜ、とヨウ。ココロの頭を小突いていた。
むぅっと声を上げるココロに、ヨウは一笑。



