ケイさんとヨウさんは高校で出会って、まだ一年も経っていない。

それなのに此処まで仲良くなれるのは、よほど馬が合ったか。
もしくは幾多のピンチを二人で乗り越えたからか。


きっと両方とも当て嵌まるんだろうな。


元々性格的に二人は馬が合っていて、尚且つ舎兄弟という濃厚な日々を送っているから、年月から生まれる友情よりも、より濃い友情が生まれる。


じゃないとヨウさん、あんなに喜ばないよね。

ケイさんがいない間、物寂しそうに思案に耽っている姿をチラホラ目にしたし。


きっとケイさんも、ヨウさんと会わない間、思う事があったんじゃないかな。


笑声を漏らして悪ノリをかましている二人に私は目尻を下げた。


そして、そっと瞳に想い人を閉じ込めてみる。

 
「てかケイ、微熱マジでまだあるみてぇじゃねえか。顔、まだ赤いぜ? 不良にも追っ駆けられたって聞いたんだけど…、大丈夫か?」

「ヘーキヘーキ。倒れたらヨウが送ってくれるだろ? だってヨウ、兄貴だもんな!」

「こういう時だけ兄貴扱いかよ」
 
 
「調子がいいぜ」敬ってからそういうこと言え、ヨウさんの言葉に、「チョー敬ってマス」イケメンなところとかさ、おどけ口調で笑うケイさん。

あんなにたむろ場に向かおうかどうか迷いを見せていたのに、表情にも陰りがあったのに、今はその面影さえ見せない。心の底から笑っている。


見知っている、いつものケイさんの表情に、大好きなその笑顔に、私自身も綻んだ。


どんなケイさんにも、心を揺さぶられる私がいる。


だけどなにより、胸に染み渡るケイさんの姿はその笑顔。



ねえケイさん。
 

刹那せつなに垣間見せる、貴方の笑顔ほど、私を喜ばせて胸を温かくさせてくれるものはないんですよ。

貴方のその笑顔、その笑声、その姿を目にする時、私はいつも改めて思い知らされるんです。
 

「送ってもいいけど、手数料掛かるからな? 俺は高いぜ?」

「えええっ、ヨウには友情と優しさってのがないのかよ!」



私は貴方の仕草一つひとつに、刹那せつなに、恋をしているのだと―――。



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