「いやでもこれはそのあれだ、うんあれなんだ」ケイさんは目を泳がせて、ぎこちなく頬を掻いた。
ジトーッと彼を熟視すると、ケイさん、
「か…看護師さんに渡してくる」
逃げるように受付カウンターへ。
勿論、まだ呼ばれてないわけだからケイさんは戻って来らざるえないわけで。
誤魔化し笑いを浮かべながら私の隣に腰掛けるケイさんは、ちょっと決まり悪そうに話題を探そうと目をあっちこっちそっちどっち。
こ、ここはちゃんと言わないと。お友達として!
心中で意気込んで、私はケイさんに言った。
「そ、そうやって心配掛けないようにする気持ちは分かりますけど…、体調が悪いなら、ちゃんと言って下さい。熱…とかあるなら、特に、です」
「(この熱はココロが近くにいるせいとか言えるか言えないよな言えるわけないよな?!)
あー…気分が悪いとか、そういうのは全然ないから、大丈夫だよ。高熱出してうんうん唸っていた頃に比べれば、ぜーんぜん平気。寧ろ俺、元気。ちょー元気。気持ちは健康そのもの」
ううっ、ケイさん、またそうやって自分の体調を隠そうとする。
心配を掛けさせないようにするために、平然な振りをするんだろうけど、顔、あからさまに赤いのに。
熱、あるのに。
ヨウさん言ってたなぁ、ケイさんって仲間内で一線引くところがあるって。
じゃ、じゃあもしかしてっ、ケイさん、実は私のこと、お友達と思ってないんじゃ!
そ、そんなっ。
確かにケイさんのこと、好きですけど、でも気持ちは言えなくって…、せめて好(よ)きお友達でいようと思っていたのに。
ど、どうしよう、そうなんじゃないかって思い始めたら、本当にそう思ってきたよ。
だって私、根暗だもの。
一度暗くなったらとことん…、そ、そうなんだっ。
ケイさんは私のこと、お友達じゃなくって、ただの“チームメート”もしくは“知人”なんだと思っているんだ! 友人なんて思ってたの、私だけなんだ!
……ちーん。
ある意味、これは、失恋より、辛いかも、です。
失恋ならぬ失友…、私の場合どっちもだから、失恋友! お先真っ暗! 人生も真っ暗!



