私達を乗せた自転車は大通りを出て、駅前広場へ。
ケイさんは不良達を巻いたことを十二分に確認すると、「ココロ、だいじょ…」私に向かって大丈夫だとケイさんは言おうとしてくれた。
でも彼は言葉を詰まらせてしまう。
原因は私の表情のせい。
申し訳ないことにもう大丈夫だと分かった途端、ドッと抑えていた恐怖心と安堵感が込み上げてきたんだ。
引き攣る喉を無視して私はケイさんの名前を呼ぶと、肩にしがみ付いた。
慌てるケイさんは私を自転車から降ろして、「もう大丈夫だよ」声掛けをしてくれる。
なんとかうんうんって相槌は打つけど、涙は止め処なく流れるばかり。
大いにケイさんを困らせてしまった。
更に気持ちが何度を求めて彼の腕を握り締めてしまう。
けれど、ケイさんは優しいから、泣きじゃくる泣き虫毛虫の私に「大丈夫、もう大丈夫だよ」って何度も落ち着かせてくれようとしてくれる。
震える私の手に手を重ねて、もう大丈夫、大丈夫だから、何度も魔法の言葉を掛けてきてくれた。
それだけで私は幸せなんだと思う。
こうやって女子が泣くって男子にとってはメンドクサイこと極まりないだろうに、ケイさんは真摯に私を慰めてくれた。
私はそっと彼を直視して、また目に薄い膜を張ってしまう。
久しぶりに聞いたケイさんの声に(安心する音)、
表情(大好きな顔)、
それから慰めてくれる優しさ(胸に沁み渡る)、
守ってくれた強さ(本当に彼は強い人)。
すべてが心を落ち着かせてくれる。
やっぱり、私…この人のことが好きなんだ。
じゃないとこんなに、安心させてくれる気持ちにならない。ならないんだ。
いつまでもポロポロボロボロと泣く私に、「んーっと」ケイさんはポケットからティッシュを取り出して、さり気なく差し出してくれた。



