「フーン、ケイちゃーんがねぇ」


意味深にワタルさんが言葉を反芻して、「馬鹿だよねぇ」無理しちゃってさ、吹く風と共にさらっと独り言。
 
その時のワタルさんが何を考えていたのか、正直私にはまったく分からなかったけれどワタルさんにはワタルさんの思うところがあるみたい。

頭の後ろで腕を組み、馬鹿を連呼、挙句口笛を吹いて思案に耽っていた。ワタルさん、何を考えているんだろう?

何を考えている、といえばヨウさんも、何だか浮かない顔を作っていた。

最初はてっきり舎弟への心配からなのかな? っと思っていたけど、様子を見る限りなんとなく事情が違うみたい。

どうしたんだろう、ヨウさん。
 

 
結局、ケイさん騒動はこの日を持って終止符を打たれた。連絡の取れない原因がちゃんと分かったんだし、取れなくても仕方が無い理由だって皆納得したから。

しかもその日の夜、ケイさんからお詫びのメールが届いた。

具合が悪いだろうに、『お騒がせしました(汗)』とお詫びの言葉がつらつらと綴られていたものだから、思わず失笑。


少しでもケイさんを疑った自分を恥じた。


私は携帯を手に取って、ケイさんにこう返信する。



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 To:田山圭太
 件名:大丈夫ですか?
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 こんばんは。
 わざわざメール
 ありがとうございます!
 
 熱が高いと
 ヨウさんから聞きました;;
 
 どうぞゆっくり休んで
 元気になって

 またチームに
 顔を出して下さい^^*

 待ってます。 

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メールで励ますなんて高が知れているけれど、何も言わないよりはマシだよね?

私はボタンに指を掛け、静かにメールを送信した。


⇒#04