「ココロさん、ケイさん大好きっスよね?」
「へ?」
豆鉄砲を食らった気分、なんでいきなりそんな話題に。
ひ、否定しないと!
「俺っちしかいませんって!」挙動不審になる私に笑って、
「俺っちは大好きっスよ」
キヨタさんは自分の気持ちを教えてくれる。
「俺っちもあんな風に調子ノリで、スッバラシイかっこつけさんになりたいっス。
残念な事に女の子が好きだから、そっち方面で好きーっ! は言えないっスけど。
あ、そしたらココロさんと好敵手になるか。
ですよね、ココロさん」
「き、キヨタさん!」
「頑張って下さい。俺っちも頑張りますから。ココロさんには負けせんよ。憧れる気持ち」
すっかりご機嫌を取り戻したキヨタさんは、すくっと立ち上がって制服についた砂を払い始める。
私も倣ってスカートについた砂を払い、プリーツを綺麗に直す。
「ありがとうっス」
ふとキヨタさんからお礼を言われて、私は彼を見つめる。
染め直した黒髪を軽く触った後、気持ちがすっきりしたとキヨタさんは笑顔を作った。
「ココロさんって名前のとおり、心を穏やかにしてくれる人っスね。なんかささくれ立っていた心が和らいだ気がします」
名前のとおり、そういう力があるのかもしれませんね。
褒め上手なキヨタさんは、「戻りましょう」ヨウさん達が戻っているかもしれないと前進。
だけどすぐに足を止めて、振り返ってきた。
「もしも、もしもの話っスけど、ケイさんが寝返ったりしたら…、ココロさんはケイさんのこと嫌いになるっスか?」
寝返ったらケイさんはチームからいなくなってしまう。
対峙関係になってしまう。
敵だと思わないといけない人になってしまう。
―…だけどきっと、私はキヨタさんと同じ答えだと思うんだ。
真っ直ぐに兄分を信じている、キヨタさんと。
例え、ケイさんが私達チームじゃなく、向こうのお友達を取ったとしても、私は。



