事情を聞いた私は間を置いて、こっそりとたむろ場に背を向けた。
向かう先はキヨタさんがいるであろう自動販売機前。
足を運んでみると、案の定キヨタさんがむっすりと脹れて自動販売機前に座り込んでいた。
人様の邪魔になるだろうに、背を自動販売機に預けてぶうっと頬を脹らませている。
子供のような態度に微笑を零し、私は彼に歩み寄った。
「キヨタさん」
「……ココロさんっスか。俺っち、戻らないっスよ」
ぷいっとそっぽを向いて戻らない宣言。
けれど私は笑声を漏らすだけ。
私はキヨタさんを迎えに来たわけじゃない、お話に来ただけなんだ。
静かにキヨタさんの隣に座って、私は膝を抱える。
視線が流れてきたから、彼とそれに合わせる。途端に外されてしまって、私はまた一笑を漏らしてしまった。
不機嫌に「なんっスか」って文句を貰ってしまったけれど、構わず私は話題を切り出す。「ケイさんって凄いですよね」と。
「あんな身形してるのに、不良の舎弟をやってのけたり、喧嘩に参戦したり。私、彼にとても憧れてるんですよ。同じ地味ちゃんとして」
いつも傍で見ていました、彼のことを。
外見とても大人しそうな人かと思えば、ひとたび口を開けば面白い人。
周りの空気を盛り上げたり、時に空気を呼んでチームに助言したり。負けず嫌いですっごくカッコつけさんだったりもしますけど、それもご愛嬌だと思います。
私、憧れている人が三人いるんですよ。
一人目は響子さん、私の姉分です。
彼女のように強く優しい女性になりたいと常日頃から思っています。
二人目はヨウさん、チームのリーダさんです。
仲間意識の高さと、その気遣いは誰にも負けない。隔たり無く接することのできるヨウさんはリーダーとして本当に器のある人だと思っています。
そして最後はケイさん、チームメートさんです。
彼は周囲の評価を跳ね飛ばす力を持っている。あんな風に私も跳ね飛ばす力が欲しい。
きっと今、ケイさんは跳ね飛ばす力さえないほど落ち込んでいるのだろうけれど、ケイさんのことです。
きっとまた顔を出してくれる。
私はそう信じたいです。



