「ンと、ケイのこと好きなんだな。顔に出るくらいに、な」
 


ううっ…、私は思わず呻いた。


だってしょうがないじゃないですか。


初カレですし、私のこと…異性として初めて“好き”って言ってくれた男の子なんですから。

時には身を挺してまで人質になった私を助けに来てくれた。

顔に出るくらい、我が儘を抱くくらい、私はきっと彼の事が好きなんだと思う。


それ以前から彼には一抹の憧れを抱いていた。

自分が思っている以上に好きなんだ、きっと。
 

だから今度の土曜日は凄く楽しみにしてる。


全部が終わったらデートしよう、その約束が土曜日に果たされる。

今から楽しみで仕方が無い、仕方が無いんです。

 
想像するだけで口元が緩んだ。

一変して破顔になる私に響子さんと弥生ちゃんから、「また百面相」表情への指摘。


二人して意地悪だと私は脹れ面を作る。


その顔に二人は絶え間ない笑声を漏らしていた。


何気ないことで笑える、それは平和そのものを象徴しているように思えた。



だって今まで随分喧嘩や対立で傷付いたり、嘆いたり、屈したりしてきたのだから。
 

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