嘘偽りなくばあばに吐露すると、「微笑ましい」恋するココロは素敵ね、と茶化された。
ムッとする私に、「本当よ」恋すると人は変わる、女の子なら特に変わる。ばあばは柔らかな眼差しで私の隣まで移動。軽く頭を撫でてきた。
「好きな子ができたなら、それなりに可愛くしないとねぇ。本物の女の子にならないと」
「ほんものって?」
「異性として見られるようになる努力をする。それが女ってものだよ。引っ込み思案なこころだけれど、恋をしたなら話は別。少しは相手に対して積極的にならないとねぇ」
そんなことを言われても。
私はばあばの助言を素直に受け取れず、曖昧に笑ってその場を流した。
ばあばと一頻り話した私は、片付けた裁縫道具を持って自室へ。
そこで一旦道具を机上に置くと、踵返して廊下に出た。向かう先は仏間、お父さんとお母さんがいる部屋だ。
中学時代はあまり来たがらなかった部屋でもある。
部屋の明かりを点けた後、私は膝を折って正座。
仏壇と向かい合って、ううん、両親と向かい合って軽く合掌。
次いで今日の報告。
「好きな人が出来たんだよ」
顔もよく憶えていない両親に告げた。
こんな私にも好きな人が出来た、小中時代じゃ考えられないよね。
あの頃は毎日学校で泣いて帰ってきていたから、人を好きになる余裕なんて一握りもなかったから。
それだけ今の生活が楽しくてしょうがないのかもしれない。
不良さん達の傍は私のかけがえのない居場所になっているから。
淡々と報告、気持ちを口にして飾られているお父さん、お母さんと視線を合わせる。
記憶に殆ど残っていない両親の顔、こうして見比べてみると私はどちらかというと父似だ。ばあば曰く、気弱な性格は母似らしい。
顔は父、性格は母に似たってことだよね。
具体的にお母さんってどんな人だったんだろう。
お父さんって怖い人だったのかな。マメな性格とはじいじに聞いたことあるけれど。
もう会えない両親を前に、私は失笑を零した。



