「―――…こころ、なんかあったの? そんなブサイクマスコット作ってからに」
  


ファミレスで時間を過ごした夜のこと。
居間で手芸に没頭していた私はばあばに指摘されて、作りかけのマスコットに目を落とす。
 
手中にはウサギであろうマスコットがいるのだけれど、目の位置が見事に離れて残念ブサイク顔になっていた。

「わわっ」目の部分をやり直すために、急いで糸切りバサミで糸を切る。

普段だったらこんなヘマしないのに、ぼんやり手芸をしていたせいでウサギの顔が…、今度は気を付けよう。
 

パチン、パチン、糸を切っているとばあばから再度同じ質問をされた。


心配性のばあばは、私が少しでも表情に陰りを見せると何かあったのかとやんわり気遣いを見せてくれる。

小中時代の私は毎日のように家で泣いていたから…、学校で何かあったんじゃないかって心配を寄せてくれるんだ。

「何でもないよ」

ちょっとボーっとしていただけ、私の回答に、

「学校は楽しい?」

ばあばはまだ心配の色を見せてくれる。
うん、私は即答した。
 

「学校というか…、お友達ができたから楽しいよ。
いつも話してるけど、グループに入れてくれる不良さん達が凄く良くしてくれるから。響子さんや弥生ちゃんは勿論、男の子達も優しい」

「そうかい。それは良かったねぇ。男の子達の話はあんまり聞かないけんど、どんな子達がいるの?」

「うーんっと…、何だか賑やかな人達が多いよ。ヨウさんとか、騒ぐこと大好きだし」

「ああ。例のカッコイイ不良くんね。ふふっ、カッコイイなら気も出てくるんじゃないかい? こころ」
 
  
「釣り合わないから」私は可能性を否定した。

ヨウさんは確かにカッコイイ、容姿端麗で思わず見惚れることもあるけれど、大きな憧れも抱いているけれど、良きお友達って感じ。容

姿の時点で諦めているというのもあるし、会話を重ねてみればみるほどヨウさんとはいつまでもお友達でいたい感じなんだ。恋心はない。