弥生ちゃんは肝が据わっているというか、度胸があるというか、純粋に凄いなぁと思う。
気のある人をこうもあっさりと自分の傍に呼べるなんて、それはそれは凄く勇気がいることだもの。
私なんて、まだ自覚したばっかりで相手に自ら歩み寄るなんて大それたこと…、ふと向かい側に座る弥生ちゃんがニコーッと満面の笑顔を作ってきた。
何だかとても嫌な予感が「ケイもこっちにカモーンね」
あぁああっ、弥生ちゃんっ、そ、そ、そんなぁ。
内心で慌てふためく私を余所に、
「俺ぇ?」
イケメンくんがそっちに行かなくていいのかよ、なんて笑声を漏らしながらこっちに歩んで来るケイさん。
弥生ちゃんが「女の子との触れ合いなんてないでしょ、サービスだよサービス」と、余計で痛いところをツッコんだせいか、
「ほっといてくれ」
ケイさん、物の見事に空笑いを零していた。
響子さんが奥に席を詰めたから、必然的に私も詰めて、その隣にケイさんが腰掛けてくる。
どうしよう…、すっごい至近距離だ。心臓が破裂しそう。
「いらっしゃーいケイ。ようこそ乙女ワールドへ」
「うわぁーい、超嬉しいな。モテ期の来ない俺がハーレムだなんて! もう二度とこんな機会ないだろうな。てへ」
「モテ期なんてケイにあるの?」
「うーっわ、今のは傷付いたぞ。弥生」
ノリ良く弥生ちゃんと言葉を交わすケイさんだったけど、すぐに私に視線を移してくる。
ドキリとしたけれど、表に出すことはなく「あの電話番号」聞いても大丈夫ですか、イソイソと携帯を取り出して私なりにアプローチ(アプローチの“ア”にも匹敵しないんだろうけど、私なりには頑張っている)。
今切り出そうと思ったんだ、ケイさんは綻んで携帯を取り出した。



