残りはケイさんだけだったのに、聞きそびれちゃった。
別に彼の意見を聞かなくてもいいんだけどね。
大半の人がお肉派って答えてくれたし、ケイさんがどのおかず派を答えようとも結果は変わらない。きっと。
分かり切っている、そして割り切っていい筈なのに心の落胆はとどまることを知らない。
寧ろ、「どんなおかずが好きですか?」と、彼に聞けなかった現実が私を落ち込ませる。
おかずの話題に則(のっと)ってメアドも聞く予定だったのになぁ。
知り合って時間が経てば経つほど、メアドを聞くきっかけが掴み難くなる。
ケイさんのメアド、知りたいなぁ。
皆のメアド知ってるのに、ケイさんだけ知らないなんて。
折角お友達になれたんだから、メアドも知っておきたい。
こうやってお友達になれたんだから。
うんぬん思考を回していると、「ふーん」意味深に鼻を鳴らす弥生ちゃんの姿が目前に広がっていた。
彼女はマジマジと狼狽える私を観察した後、持ち前の可愛い笑顔でニッコリと口を開く。
形の良い唇がとある台詞を紡いだ時、私の思考は完全にストップ、硬直してしまった。
「ココロ、もしかしてケイに恋してる?」
私がケイさんに―…そんなこと、そんなこと。
―…本当は薄々とは気付いていた、自分の気持ち。
最近ずっとケイさんのことしか頭になくて、空いた時間ができれば彼のことを考えていて、だけどそれは憧れと親近感ゆえに想ってしまう気持ちなのだと思い込んでいて。
だってそれまで、ちゃんと同異性の友達ができなかった私だから…、一番タイプ的に似ている彼のことを想ってしまうのは憧れの一種だと思っていた。思いたかった。思い込みたかった。
薄っすらと分かってはいたけれど、目でも彼を追ってしまう自分に気付いてしまってはいたけれど、違うのだと気持ちを否定していた。
他人に指摘されて、改めて私は自分の気持ちと向き合わざるを得なくなる。
私はケイさんに恋してる、のかな。
だからこんなにケイさんばかり目で追ってしまう、のかな。



