純粋に尊敬してしまう。

不良の舎弟として毎日を過ごしているケイさんに。

そんなケイさんを気付けば見ている私、これってやっぱり意識してるんだろうけど、恋なのかどうなのかよく分からない。


どちらかといえばまだ、尊敬の念が強いと思うんだけど。


―…だけど、ちょいちょい意識する私がいるし。いちゃうし。
 
 

(今日はケイさん、何してるんだろう。学校別々だからなぁ)



あ、ほら。

また意識する私がいる。
彼のことを想うだけで胸が熱くなる最近の私に私自身がついていけない。

人知れず溜息をついて、私は胸の火照りをどうにか冷まそうと努力してみた。


結果は残念な事に惨敗、とだけ付け加えておくことにする。
  
 
 

昼休みになると、私はお弁当と水筒の入った手提げ袋を持ってすぐさま教室を出た。

向かう先は東棟4Fの空き教室。

最初こそ体育館裏でご飯を食べているようにしていたんだけど、最近は天気が不機嫌気味だったから、極力は空き教室でご飯を食べようってことになっている。

空き教室の方が何かと便宜もいいしね。


皆とご飯を食べる事が毎日の楽しみで(皆って言っても響子さんとシズさんの二人だけど)、ついつい軽快な足取りで空き教室に飛び込む。


一番乗りだと思ってたんだけど、あらら…先客がいた。

スピースピーっと寝息を立てている先客さんは机に伏せて寝ている。

私は苦笑しつつ、シズさんに歩み寄って右肩に手を置いた。

「シズさん。起きて下さい」

ゆっさゆっさ揺すって起こしてみるけど起きる気配なし。

だったらこの言葉でどうだ。


「シズさん、昼休みになりましたよ。昼食を取りましょう」

「……、ひるメシ」


昼食という単語に反応してくれたシズさんは、大きな欠伸を零しつつ上体を起こす。

さすがはシズさん。ご飯というキーワードにとても敏感、おかげで起こしやすい。

「おはようございます」

私の挨拶に、うんうんっと首を縦に振ってまた大欠伸を一つ。
シズさんっていつも眠そうだよなぁ。