「フツーの男子は」


大小関係ナシに目にいくとは思うよ、ケイさんは正直に答えてくれる。


「俺も…」


無意識に胸は見ちゃうけど、でも好意とは関係ないし。


段々声が小さくなるケイさんは、これ以上俺に言わせないでくれとギブアップ宣言。

本当に恥ずかしかったみたいで、


「女子同士でこういう話はしてくれ!」


嘆きを口にして白旗を振った。
 

もっと意見を聞きたかったけど…、うん、ケイさんがギブアップだって言ってるんだし、このお話は終わりにしよう。

ケイさんが胸で女の子を見ているわけじゃないって知ってるし。
 

ただ、好きな男の子のタイプとか容姿とか、どうしたって気になるから。
 

髪をバッサリ切ったことだって気持ちを改めると並行して、ケイさんがショート髪の女の子が好きって知ったから。

ケイさんは知らないと思うけど、女の子って結構好きな男の子に見合うよう、陰で努力しようとしてるんだ。

弥生ちゃんだってハジメさんに振り向いてもらおうと、陰でこっそり努力していたことを、私は知っている。
 

「とにかくさ、コンプレックスかもしれないけど…、ココロはそのままで十分だから! 
っ、こんな話題になったのもっ、健太のせいだっ。
次会ったら、一発かます。絶対かましてみせる。ああ、かますとも。舎弟の名に懸けて」


グッと握り拳を作るケイさんの姿を、私は恍惚に見つめる。

ケイさん、ケンさんに沢山悪態付いているけど、それはオトモダチという前提があるから。ご愛嬌というヤツだと思う。


もしも、あの時のままの関係だったら―――…ケイさんはケンさんの名前を出すだけでも傷付いていた。
  



(ケイさんがケンさんのことで傷付くと同じ頃、私も気持ちを自覚し始めていたっけ)




懐かしい思い出のページを開く。

私はこの人を好きだと自覚した時っていつだったっけ、いつ―――…。


⇒№02