幕末怪異聞録



「それから、そこにいるやつ。
盗み聞きとは大した趣味を持っているな?」


灰鐘はそう言いながら廊下の方に目を向けた。


「気付いていたのか。」


スッ……


入ってきたのは土方であった。


相変わらず眉間にしわを寄せていたが、その瞳がいつもとは違う光をしていた。


それが分かった灰鐘は、軽く鼻で笑った。


「何だ…。
私の話に同情したか?」


「――するわけねえだろ。
ここにはそんな連中がいるんだよ。
お前はそうやって自分を苦しめてんだよ。」


「……。」


この時初めて本心を見抜かれた気がした。


(そうか……。
私は誰かに“心の内”を見てほしかったのかもしれないな。)


「確かにお前の言うとおりだよ。私は―――」


ズクンッ……!


「――!!」


突然痣が痛み、言葉を噤んでしまった。