幕末怪異聞録



嵐が過ぎたように静かになった。

幕府の者も既に引き上げたのだろう。



辺りに聞こえるのはパチパチと家屋が燃える音と、しんしんと静かに降っている雪の音だけだった。


「――雪なんて降ってたんだ……。
気付かなかった。

ね?

陽輝…。陽斗…。」


この時、時雨に重くのし掛かったのは、無力感と罪悪感――…


(私がもっと強ければ、こんな事にはならなかったのに…。

ごめんね…。

私は、もっと強くなる!!)


そう、心に強く誓ったのだった。






―――――――………



「と、こんな感じだ。
その憎き仇がそこまで来ているから、迷惑をかける前に出て行きたいんだよ。」


『時雨…。呪いって…。』


「大丈夫。母が封印してくれたから。」


笑顔を向ける灰鐘に梅は一抹の不安を抱いたのだった。