幕末怪異聞録



「は……る…き……。」


時雨は目を見開いて動くことができなかった。


頭が目の前の出来事についていかなかった。


(陽斗が……斬られた…?

陽斗が……


死んだ?)


一筋の涙が零れると怒りがこみ上げてきた。


「貴様……


何してくれてんだぁ!!」


バサー!!


突風が吹いたと思えば時雨の両目が髪と同じ黄金色に変わっていた。


その纏う妖気は龍のそれと同じもので、西沢のものより強力であった。


時雨は抱いていた陽輝をそっとおき、ゆっくりと立ち上がった。


そしてそばに置いてあった太刀を抜いた。


「貴様…絶対許さぬぞ?
必ずその首を落としてやる。」


『凄まじい妖気だな。
流石龍の血筋と言うところか…。
だが、この俺が遅れを取るわけなかろう…。』



―――ヒュン!!


次の瞬間に一閃が走った。