幕末怪異聞録



「どう言うこと?
外の暴れている人は幕府の人間。あんたは妖怪でしょ?」


それを聞いた西沢はニヤリと笑った。


『西沢家は関ヶ原において徳川に手を貸し、恩を売っているのだ。
だから俺が徳川の将軍に、“町外れの村に龍と巫女の強い力を持った半妖がいる。このままじゃ江戸が潰されるかも。”と助言したらこれだ。
幕府が暴れている隙に俺はお前を浚(サラ)おうと思ってな。
だが夫がいるのか…。』


「何てことしてくれたのよ!」


目に涙を溜、西沢を睨むも、西沢は陽斗の方を見て考えていた。


「ちょっと聞いて―――」

『お前を殺せば済む問題か。』


「は?」

「え?」


西沢は納得したように腰の刀を抜き、陽斗にじわじわと近寄っていった。


「嫌な冗談じゃないのか?」


陽斗が苦笑いを浮かべるも、西沢は近寄ってくる。


「陽斗逃げて!」


時雨の悲痛な叫びが響くが、西沢の刀は天を指していた。


「時雨、お前は生きるんじゃよ。」


バサーッ!!


口元に笑みを浮かべるも、血飛沫を上げる陽斗を時雨は見ているだけしかできなかった。