幕末怪異聞録



パタパタと歩く灰鐘はやはり元気はなく、心此処にあらずと言わんばかりに、ぼんやりと歩いていた。


(西沢のクソ野郎が近くにいるのか……。)


と内心悪態をついていた。


ぼんやりしていたあまり、前を疎かにしていたため……


ドンッ!!


「いってっ!」


「―――!」


出会い頭にド派手にぶつかり、尻餅をついてしまった。


「いててて……。」


「大丈夫か?
てか色気のねえ転び方だな。」


視線を上げると、驚いた顔をした土方がいた。

灰鐘は土方に腕を掴まれ立ち上がると、「すまなかった。」と素直に謝った。


「何か考え事でもしてたのか?
全く気配がしねえからかなり驚いたぞ?」


「あぁ…。
無意識に気配を消す癖があるんだ。ここにいる間は気を付ける。」


へらっと笑い通り過ぎようとしたら、土方にまた腕を掴まれた。


「何か屯所であるのか?」