幕末怪異聞録



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『寝てるのか?
時雨。』




―――誰?




『何だ、俺が分からぬか?』



知らねえよ



『まぁいい。


すぐに会いに行く。


待っていろよ?』



だから誰なんだよ。



『しつこいな。


お前の―――』












「―――!!!」


ガバッと起き上がり、息を荒くする。


(寝ていたのか…。)


寝不足の上、動いた後だったため、灰鐘は部屋に入るなり横になっていた。


「時雨…。
悪い夢見たの?」


生唾を飲み汗を拭っていたら、横で心配そうに顔を覗き込む狼牙がいた。


「―――夢……か…。」


「ん?」


「いや、何でもない。」


そう言うと、灰鐘は安心させるように微笑んで狼牙の頭を撫でた。


(――嫌な予感しかしないな…。)