幕末怪異聞録



「お梅に言いたいことがあるなら言っておけよ?」


狼牙を下ろして腕を組む灰鐘を見て、土方はため息を吐いた。


「何でテメェはそんなに偉そうなんだよ。」


「何でだろうな?」


首を捻る様を見て少し微笑んだ土方は、キリッと顔を締めて梅に顔を向けた。


「お梅さん…」


『な、なんどすか?』


強面な土方の顔がは些か怖かったらしく、梅は一歩後ろに下がった。


そんな事お構いなしに土方は口を開いた。


「すまなかった。


あんたはこんなとこに来たばっかりに死んでしまった。
俺らが――」

『もう、ええどす。』


「――!!」


土方の言葉を遮った梅の顔は晴れ晴れしたものだった。


『それより先は仰らなくて構いまへん。

あんさんに謝られたらそれでええと思っておりました。
近藤はんは、もう謝られましたから。

もう、ええどす。』