「時雨、何考えてんの?」
「え?」
ガンッ!!
沖田に押し返らせた灰鐘は、足の踏ん張りに意識を持って行っていなかったため、ふらっと後ろに下がり、バランスを崩して片足を付いてしまった。
「やぁぁ!!」
その瞬間、灰鐘に向かって突きを繰り出した。
ダダンッ!!
「…。」
「…。」
「嘘だろ…?」
そこにあるのは、後ろを取られている沖田だった。
水を打ったように静かになった道場で斎藤の声が響いた。
「そこまで!!
勝者、灰鐘!」
静かだったのが嘘だったように、ドッと沸いたのだった。
「まさか負けるとは思っても見なかったよ。」
「たまたまだよ。次やれば総司が勝さ。」
「でも、あの体制から起き上がって後ろに回るとは思わなかったよ。」
ニコニコと笑うその顔は些か悔しそうな雰囲気がチラチラと見え隠れしていた。



