幕末怪異聞録



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パシーンパシーン!


道場では竹刀と竹刀が打ち合う乾いた音が響いていた。


そこで一際声を張り上げていたのは沖田だった。


「握りが甘い!振りが遅い!
これじゃあテメェ等斬られるぞ!!」


「…。」


(性格変わってないか?)


灰鐘が驚くのも無理はない。


沖田はいつもニコニコしているが、剣のこととなると人が変わったように厳しくなるのだった。


「――あ!時雨!」


灰鐘に気付いていつもの表情で近付いてきた。


「総司、人が変わったように稽古するんだな。」


「ちょっと厳しくしないと死ぬのは隊士だからね。」


「あはは~…。」


困った子だと言わんばかりに目を細めた。


それに気付かない沖田は思い付いたように声を上げた。


「そうだ!時雨、試合しようよ!」


「え!?」