幕末怪異聞録



「近藤さんはそう言うところがいいんだよ。」


灰鐘と近藤が話していると、沖田がニコニコしながら歩いてきた。


「総司、これから稽古か?」


「はい、隊士をいじめてきます。」


悪戯っぽく笑うその表情から本気で隊士をいじめるのだろうと灰鐘は感じた。


「さて、雑巾を片付けてこようかな。」


そう言って立ち上がり、足早にその場を去ろうとした。


(なんか嫌な予感がするんだよね…。)


「それじゃ――」

「時雨殿も後で稽古を見学したら如何かな?」



「……え?」


(やっぱり当たったよ…。)


雑巾掛けが終わったら、昼寝でもしようと思っていたのだ。


(眠いのに…。)


仕事を依頼されたとはいえ、新選組に泊めてもらっているため、近藤の提案を無碍(ムゲ)にするわけにはいかなかった。


「――分かりました。後で見に行きます。」


灰鐘に、“昼寝をする”と言う選択肢が消えたのだった。