幕末怪異聞録




「傷ならもう治ったから案ずるな。」



着替えに出ていた灰鐘らが戻ってきた。


灰鐘は袴姿に変わっており、どこからみても男の身なりに変わっていた。


「これでも私は龍の血が流れているんだ。
あの程度の傷なら一日寝れば治ってしまう。」


「急に入ってくるなよ。」


「なんだ?恥ずかしいのか?(笑)」


クスクス笑う灰鐘に山南が口を開いた。


「先日はありがとうございました。」


「あぁ。無事で何よりだよ。」


「ところで、あなたの刀はどうなっているのですか?
私は傷付かなかったのですが…。」


「あぁ…。あんたを斬ったのはこっちの刀だ。」


そう言って腰の物に手をかけた。


「これは、負の物のみ斬り捨て、浄化するんだよ。
因みに人の負の感情にも影響するから、あんたの気持ちも変化あった筈だ。
そして、背中の太刀は全てを斬り捨て、無にしてしまうんだ。」


そう言いながら背中の物を静かに下ろした。