幕末怪異聞録



「気付いてたのか?」


土方のその言葉に灰鐘は鼻で笑った。


「私が気付かない訳がないだろう?

顔は見せてくれないのか?
知らぬ奴だったらうっかり斬ってしまうかもしれんぞ?」


そう言ってニコッと笑う灰鐘は、“早く出せ”と言わんばかりだ。


そんな訴えに気付いた土方は、
「山崎…。」
誰に言うでもなく困ったように呟くと、土方と灰鐘の真ん中に一人の男が何処からともなく現れた。



「新選組監察方、山崎烝と申します。
監視していたことお詫びします。」


丁寧に頭を下げる山崎に灰鐘は頬をかいた。


「そんな丁寧に頭下げんでもかまわんよ。

私は灰鐘時雨。私の後ろつけても斬らないように気を付けるね♪」


アハッと笑って冗談を言う灰鐘に山崎は「そうですか。」とだけ言った。


当然「つまらんやつだ…。」とぼやく灰鐘だった。


「ところで副長、灰鐘さんをどうするのですか?」


山崎の問いに灰鐘も顔を引き締めた。