幕末怪異聞録




「――夜になると寒さが強くなるな…。」


時雨は外に出てきた。


冷たい空気を吸い込んで一気に吐き出した。


「気にしなや。」


「ん?山崎か。気にするなと言われても、お前は仲間ではないと言われたようでさすがの私でも傷付くぞ。」


空を見上げまた深呼吸をした。


「まあ総司の本心ではないと分かっている。だからこうして頭を冷やしているんだよ。」


「総司と喧嘩でもしたのか?」


「は?え、土方?」


山崎と話しているつもりだったのにどうやら土方が通りがかったことで山崎は仕事に戻ったようだ。


(なんか冷たいぞ山崎。)


「大坂行きの事で総司が突っかかってきたのか?」


「そうだ。何故私に言ってくるかな。そこまで嫌なら土方に言えってんだ。」


腕を組んでプーッと頬を膨らませた。


その様子を見て土方は思わず吹き出した。


「なんだ。土方、お前も笑えるじゃないか!」


感心した様に目を輝かせ笑った。

土方は罰が悪そうに目を背け咳払いをした。


「そんなことより、総司がお前に突っかかったのはある意味お前に気を許しているという事だろう。大坂行きを告げた時俺の前では納得していた。一方行きたくないというやるせない気持ちもあって、それをお前にぶつけたんだろう。つまり駄々をこねたってことだ。あんまり責めてやるな。」


そう聞いた時雨はため息をついた。


「新選組の副長にそう言われたら責めるわけにもいかないな!」


そう言って時雨は笑った。