それから数日経った頃
部屋に戻った時雨は自分の荷物に手を伸ばした。
パサ……
久しく使っていなかった刀、葉橋丸。
手入れは欠かさずしていた。
(これの出番がもう時期……)
「時雨、入ってもいい?」
「かまんよ。」
そう言って部屋に入ってきたのは沖田だった。
「どうした?」
静かに入ってきて時雨の側に座った。
「明後日にも近藤さんと僕は大坂城に行くことになったよ。」
「そうか。やっとここ場所から離れられるんだな。よかっ…――」
「僕は嫌だよ。」
「え?」
その表情はとても真剣であってどこか悲しそうだった。
「時雨、この前土方さんに場所を移すように詰め寄ったんでしょ?僕は死ぬまで新選組一番組組長沖田総司でありたいんだ。余計なこと言わないでよ。」
沖田は最期のその時まで新選組と共にありたい。そう言ったのだった。
「でも、その病を治さないといけないだろ?だから養生するのにいい所へと言ったんだ。それの何がいけない?」
そう言われた沖田はまだ納得がいってないようでムッとした表情を見せた。
「それは余計なお世話だよ!時雨は新選組の隊士じゃないんだから余計なことしないでくれるかな!」
「……そうか。それはすまないことをした。だが大坂行きは決まったことなのだろう?荷物をまとめておきなさい。」
時雨は刀を持ってそのまま出て行ってしまった。
残された沖田はグッと唇を噛みしめた。



