幕末怪異聞録




一方時雨は……


「――はぁ……。」


歩きながら盛大なため息をついていた。


(私としたことが何故あんなに責め立てるような言い方をしてしまったのだろうか……。)


そんな時雨の横を通りかかったのは原田だった。


「お?時雨どうした?ため息なんてついて。」


そんな原田に気付いた時雨は困った笑顔を見せた。


「さっき土方に言い過ぎてしまったんだよ…。悪かったなと思うんだけど、何であそこまで言ってしまったのか分からなくてな…。」


そう言って先程のことを話すと原田はヘヘっと笑った。

時雨はそんな原田にムッとした表情を見せた。


「すまねぇ時雨。その話だとすげぇ新選組の事が心配で大好きだと言っているようなもんだぜ?」


「え?」


そう言われると時雨もすんなり受け入れられるのか、「なる程!そうだな!」と先程とは打って変わってとびきりの笑顔を見せた。


「そうやって時雨は笑ってるのが一番似合ってるんだよ。最初に出会った時辛気くせぇ顔してさ!そんな顔より笑った顔がいい。だから土方さんに次会う時は笑ってやれよ。」


原田にそう言われ、時雨は照れたように微笑んだ。


「そうだな、そうするよ。ありがとうな、左之!左之が困った事があれば次は私が相談に乗ってやる。何でも言って来いな!」


そう言って時雨は原田の元を去った。


そんな時雨の後ろ姿を原田はジッと見つめ、時雨とは反対方向に歩みを向けた。