「こら!放せ薬野郎!」
「誰が薬野郎や!このドアホ!」
「うるせえ!近藤さん診てもらってんだ静かにしろ!」
「「……。」」
土方に怒られてしまった二人だが、お互いに 「うるさいのはあんたの方だろ」と思ったのは秘密である。
静かになったところで土方は口を開いた。
「とりあえず、総司も時雨も落ち着け。近藤さんを撃った奴の目星はついてんだ。深追いするな。」
「誰なんですか?撃った奴は。」
そう聞いた沖田の目の奥に微かに燻る殺気を土方は見逃さなかった。
「今言っただろう?“深追いするな”って。総司、テメエは体しっかり休めてろ!そして時雨!お前も総司甘やかすなよ?部屋に戻れ。」
それだけ言うと土方と山崎は近藤の部屋に入っていった。
取り残された二人の間に重たい空気が流れていた。
「総司……。」
「――近藤さんに会うとこすら今できないなんて……。」
強く拳を握る沖田の肩を時雨は優しく触れた。
「きっと、近藤さんは大丈夫だ。それより今総司が倒れてしまったら元も子もないだろう?早く部屋に戻ろう。また温かいお茶を入れてやるから。」
「――うん、そうだ……ゲホッ!ゲホゲホッ!ゲホッ!」
「総司!大丈夫か?」
覗き込もうとする時雨を制止した沖田はヨロヨロとしながらその場を離れようとした。
「総司!」
「ゲホゲホッ……。僕の病気を近藤さんに移しちゃいけないからさ……。」
「総司……。」
時雨と沖田はゆっくり歩きながら部屋に戻っていった。
後々分かったことだが、近藤を襲ったのは御陵衛士の残党で、最初は沖田が狙われたが留守であったため京都から帰っていた近藤が狙われた。
もちろんこのことは沖田総司が知る由もない。



