「平助っ……!」
藤堂が斬られた瞬間永倉は軽く眩暈がした。
(——嘘だろ……。あの平助がやられるなんて…。)
元新選組組長が平隊士にやられるなど永倉には毛頭理解できなかった。
その上藤堂を斬ったのは奇しくも藤堂の元部下であった。
袂を分かったとはいえ、戦友を助けてやれなかったことは永倉を苛立たすのに十分なことだった。
「クソッ……!」
永倉は周りの隊士を押し退け藤堂の元へ駆け寄った。
新選組二番組組長としてはやってはならぬ事であったが、永倉は頭で考えるより先に体が動いたのだ。
「——平っ……!」
(もう、手遅れか……。)
「新八……。」
ぶつけようのない怒りで刀をカタカタ震わせる永倉の肩を叩いた原田。
彼もまたやるせない気持ちでいっぱいだった。
「帰るぜ。新八。」
「————なぁ、平助の遺体だけでも……。」
「何言ってんだ。命令では、“死体は置いて帰れ。”だっただろ?」
「だけどよぉ……」
永倉はクソッっと塀を叩き、ゆっくりと顔を上げた。
「——っ!」
そんな彼の視界に写ったのはキラキラ輝く黄金色の髪だった。



