幕末怪異聞録




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その頃時雨は……



「——多分こっちなんだよな~……。」


キョロキョロしながら歩く時雨。


嫌な予感と只ならぬ雰囲気に思わず外へ出た。

その時に血のにおいが微かにしたのだった。


(ま、誰か死んでいたとしてもこのご時世、驚きはしないが……。)


ふと空を見上げたが、そこには月は出ておらず、暗闇しかなかった。


「それでも誰かが死ぬのはいい気がしないよな~……。」


そう呟いた時雨は、人間同士仲良くやればいいのに。とも思ったのだ。



「———ん?」


——キンッ


ふと聞こえてきたのは刀の交わる音。


そして血のにおい。


「ここか……。」


時雨はゆっくりと近付き、藤堂を探した。


横たわって息のない者の顔もしっかりと見ながら。


(死んだ奴らの中に平助はいなかった……。あいつはまだ生きてるのか。)


そう思えば些か安堵したのか、肩の力が抜けた。


それと同時に探していた本人が目に入ったのだ。


「——平っ……す…け……。」


嬉しさに顔を綻ばせそうになったが、それはすぐに固まってしまった。


何故なら、新選組隊士に斬られるところを目撃してしまったからだった———……